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三多摩のホテルを「高級」だけで見ない

三多摩のホテルを外観や宿泊料金の印象だけで判断せず、旅館業法上の営業定義、警視庁が案内する店舗型性風俗特殊営業4号、そして自治体ごとに異なる窓口の仕組みから読み分ける視点を整理したコラム。

各駅停車で三多摩の街を移動していると、駅前や街道沿いにさまざまなホテルが見えてくる。ロビーが広々としていたり、きらびやかな照明や食事の場が整っていたりすると、外観の印象から「高級なホテルだ」と受け止めがちだ。ボクがここで考えたいのは、そうした街の印象と制度上の区分を、どう読み分けるかということだ。けれど、建物の華やかさや料金の高さと、行政手続きにおける営業区分はまったく別の基準で整理されている。

印象と営業の定義を切り離して考える

法律上の区分を見る際、外観の豪華さや料金の高低は判断の軸にはならない。

旅館業法2条2項では、旅館・ホテル営業について、施設を設け宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業と下宿営業以外のものと定めている1。同条5項では、宿泊とは寝具を使用して施設を利用することとされている1。そして同法3条1項により、旅館業を営もうとする者は都道府県知事(保健所設置市や特別区では市長や区長)の許可を受ける必要がある1。ここで規定されているのは、宿泊料を受けて寝具を利用させる営業形態や施設の要件であり、宿泊料金が高いからといって許可の効力が強くなるわけではない。

ホテルのロビーで、外観や料金の案内と営業定義・所在地の窓口の資料を確認する成人2人のイメージ

ホテルの印象と、営業の定義・所在地の窓口を分けて確認するためのイメージ。

店舗型性風俗特殊営業4号と営業実態

一方で、いわゆるラブホテルなどの営業形態はどのように位置づけられているのか。

警視庁の業種一覧では、店舗型性風俗特殊営業4号(ラブホテル・モーテル・レンタルルーム等)について、専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)のための政令で定める施設を設け、その宿泊に利用させる営業と説明されている2。細かいことをいうと、外観の派手さやプランに「休憩」という言葉があることだけで、個別の施設が4号営業に該当すると決めつけることはできない。また、旅館業法と風営法の区分は単純な二者択一や相互排他として捉えられるものではなく、それぞれの定義や政令で定める構造設備、実際の営業実態を踏まえて整理される。料金の高さやプランの名称といった印象だけで、法的な区分を即断することはできない。

自治体ごとに確認する所在地の窓口

手続きの視点から街を見渡すとき、もうひとつ押さえておきたいのが相談窓口の違いだ。同じ三多摩地域であっても、ひとつの窓口ですべて共通というわけではない。

たとえば町田市では、旅館業の許可に関して保健所窓口や関係機関への事前相談を電話予約制で案内し、建築基準法令や消防法令等との適合確認も求めている(町田市・旅館業)。八王子市では、保健所の生活衛生課環境衛生担当が旅館業のてびきや営業許可申請書、構造設備概要などの様式を公開している(八王子市・旅館業)。さらに立川市のような別の街で施設を考えるなら、その所在地を所管する窓口を個別に調べて確認する必要がある。同じ多摩地域であっても、自治体ごとに確認すべき案内や窓口の枠組みは分かれている。

ホテルの佇まいや価格帯は利用者の受ける印象を大きく左右するが、行政手続きの場では、法令上の定義や所在地の窓口に沿って淡々と線引きがなされている。私は業界と行政のあいだに立つ書き手として、外見のイメージだけで良し悪しを決めつけるのではなく、制度の定義と地域ごとの窓口を確かめる視点を持ち続けたい。高級という言葉の印象にとらわれず、その営業がどのような枠組みに基づいているのかを冷静に見分ける姿勢が大切だと考えている。