池袋の雑居ビルで起きた深夜の刺傷事件と、閉店時の来訪
池袋の雑居ビル9階で起きた刺傷事件の報道から、閉店作業時の来訪者への応対について考える。雑居ビルの店舗における施錠や連絡という一般的な課題について、筆者の視点から考察する。
6月11日の午前0時5分ごろ、池袋の雑居ビル9階に入る店で、閉店作業をしていた40代の男性店長が刺される事件が起きた 1 。
入ってきた男は、こう言ったという。
「財布を落とした」
そう話して入った男は奥の部屋へ進み、店長は背中や脇腹を文化包丁で刺されたとされる 1 。 店内にいた従業員の女が110番に通報した 1 。男はその後、ビルと隣のビルの隙間の路地で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されたという 1 。
男と店長との間に何かしらのトラブルがあったのかも含め、警察が経緯を調べている段階の報道であり、動機や詳しい内情は分からない 1 。 ただ、記事を読んだ私には、いくつかの疑問が残った。
なぜ、閉店作業中のその時間帯だったのか。 そして、男が店の奥へ進むまで、何が起きていたのか。
現場は池袋にある雑居ビルの9階だ 1 。
深夜の閉店作業中に「財布を落とした」と声をかけられたとき、現場はどう受け止めたのだろうか。 落とし物を探している相手であれば、客商売として無下に断りづらい場面もある。 だが、そのやり取りがどのような形で行われ、なぜ奥の部屋へ進む事態に至ったのかは、報道からは読み取れない 1 。
当時の店内における正確な勤務人数や、通報した従業員がどの位置にいたのかも分かっていない 1 。 ただ、深夜のビルの上階という閉ざされた空間で予期せぬ事態が起きたとき、現場が瞬時に状況を判断することの難しさは想像に難くない。

閉店後の来訪にどう応じるかを、施錠と連絡の手順に分けて考える
施錠と連絡という課題
警視庁が公開している防犯資料では、閉店中の店舗を狙った侵入窃盗への対策として、出入口や小窓の施錠の徹底、現金を店舗に保管しないことなどが案内されている 2 。
もちろん、これは閉店中の侵入窃盗を防ぐための一般的な呼びかけであって、今回の傷害事件の原因を分析したものではない 2 。当時の店が出入口をどのように管理していたかも含め、施錠の有無と事件との因果関係は分からない 1 2 。
ここで私が考えるのは、店を閉める前後に、誰が用件を聞き、誰へ連絡するのかということだ。
外からの来訪者に対してどのような手順で応対するのか。 異変を感じた際に店内の人間同士でどのように連絡を取り合うのか。
マニュアル通りの対応を想定することはできても、実際の夜の現場でどこまで厳格に運用できるのかは、決して単純な話ではないだろう。
事件の背景や加害者の動機は、当時の報道の範囲では分からないことが多い 1 。 深夜の雑居ビルで誰かを迎え入れる日常の延長に、こうした事件が起きてしまうことの重さを思う。


